カード交換式オルゴールの機種比較
主に2つの国で生産される
カード交換式オルゴールは曲の情報が収録されたソングカードを交換することで様々な曲を奏でることができる自由度の高いオルゴールです。
動力は主に手回しで、クランクハンドルを回すとローラーがソングカードを一定方向に送り、曲が演奏されるという仕組みになっています。
同様の機構を持つ商品を生産するメーカーは主に日本と中国の2つの国にあります。
この記事では、この2つのメーカーが生産し、比較的手に入りやすいいくつかの機種について、主に音楽的な観点から相違点をご紹介します。
20弁 オルガニート
日本のオルゴールメーカー、日本電産サンキョーが生産しているオルゴールで、オルガニートという商品名で販売されています。
櫛(発音体)が20本あり、それぞれにハ調長音階の音(ドレミファソラシ)が割り当てられています。シャープフラットの音階外音は省かれており、2オクターブ半程度の音域があります。
童謡や民謡など、転調がないシンプルな曲の演奏に向いており、編曲も比較的簡単に作ることができますが、転調を伴う曲を演奏する際には一部演奏できない音が出てくるため、音の置き換えや省略を検討する必要あります。
日本製品としては比較的安価で手に入りやすいため、エントリーモデルと言えます。
30Notes カード交換式オルゴール
中国のオルゴールメーカー、ユンシェンが生産しているカード交換式オルゴールで、当店でも販売しているモデルです。
調律はやや変則的で、へ調長音階にいくつかの半音を足したような音階になっています。
アンティークのディスクオルゴールなどと同じ考え方で、比較的臨時記号を使うことが少ない低音部分と最高音付近の音は半音が省かれているため、編曲もこれを踏まえて作る必要があります。
原曲がヘ長調以外の曲は、あらかじめヘ長調(ハ長調でも良い)に転調してから編曲を作ると比較的作りやすいです。
中国製ということもあり非常に安価で、ある程度編曲の自由度も高いので、コストパフォーマンスに優れたモデルです。
33弁 オルガニート
日本電産サンキョーが生産している、櫛の数が33本あるオルゴールです。
調律の並びは最低音を除いて全てクロマチックになっており、最近のポピュラーミュージックなど、転調を多く含む音楽でも問題なく演奏することができます。
他の機種と比較して最も編曲の自由度が高く、ソングカードを製作するのも楽しい製品です。
日本国内でも販売しているお店が少なく、手に入りにくい商品と言えます。また、ほぼ特注品のような扱いのため、価格が非常に高いことが難点です。
他のオルゴールでは物足りない、もっと自由に編曲したいという方にオススメな製品です。